この記事ではエヴァンゲリオン新劇場版を主軸にTV版や旧劇場版の内容とも当てはめつつ本編では語られなかった空白部分の考察を書いております。
当記事ではエヴァンゲリオン3号機に関する考察をメインに書いております。
まだ本編を見ていない方にはネタバレになるかもしれない箇所があるかもしれませんので、予めご了承頂いた上で閲覧してください。
あくまで私個人として見解なので、情報不足や認識違い等もあるかもしれませんが、生暖かい目で見ていただけると助かります。
前回記事で書いたエヴァ4号機考察に次いで今回はエヴァ3号機について考察致します。
前回紹介したエヴァ4号機の考察は以下のものになります。
多少ですがここでの3号機考察にも4号機の考察が関与していますので、未読の方は4号機の考察から読むことをオススメします。
エヴァ3号機について
3号機はネルフ北米第3支部で建造された正規実用型のエヴァンゲリオンです。
零号機や初号機のテストデータを経て正式な実戦運用機として開発された先行量産型の2号機を経ていよいよ本格的な量産型として建造されたエヴァと言ったところでしょうか。
量産型と言うと弱そうに聞こえますが、実際には試作機などに搭載されていた検証用機材や試験過程で不要と認識された部分の無駄を省いてより実用性重視で作られるものなので性能面で試作機に引けは取らないし、むしろ若干性能が上回る事があります。
エヴァ2号機以降の正規実用型エヴァの構造は2号機の設計を母体にしているので、アスカの2号機運用時の戦闘ポテンシャルを見れば、3号機の性能にも期待できるものがあるずです。
そして3号機の同型機種が次世代試験機の4号機になっています。
恐らく4号機も3号機と同時に建造されていたのだと考えられます。
そして3号機はそのまま戦力として配備し、4号機は次世代技術の実験用に振り分けられたと…そうだとしたら正に量産型らしい流れですねw
3号機は黒を基調としたカラーで、頭部のデザインが零~2号機に比べて最も人間的な落ち着いた形状をしています。
ゼーレ曰く、最新鋭機とのことですが、良くも悪くも本当に新しかったために実戦運用どころか起動実験すらしていない新車同然だったようです。
次世代試験機として動力源の仕様が変更されていたとはいえ、同型機だった4号機の事故があったためか、ゲンドウは米国から提供される3号機の運用を懸念していました。
TV版では米国から日本へ輸送途中に第13使徒バルディエルに侵食され、起動実験時に使徒として覚醒してしまいます。
新劇場版でも使徒化する流れはほぼ同様です。
エヴァ3号機譲渡の謎
エヴァ3号機には使徒化して暴走に至るまで気掛かりな事がいくつかあります。
まず最初の疑問は3号機が米国から日本への譲渡される経緯です。
TV版でも劇場版でも経緯は4号機の事故が背景となっています。
事故後、米国政府は日本への支援としてエヴァ3号機を提供しています。
名目上は日本への戦力の増援による支援ですが、話が妙ちくりんに思えませんか?
米国はエヴァ4号機を事故によって研究施設もろとも喪失しています。
エヴァが戦力として如何に貴重な存在なのかは言うまでもありません。
そんな貴重な戦力が一つ失われた矢先に米国は手元に残った戦力をタダ同然で日本に提供したのです。
それも新品の状態で。
被害者であるにも関わらず、逆に過剰と言ってもいいサービスの全開です。
考察されるものとして挙げられるのが米国もゲンドウと同じく4号機の事故によるエヴァ3号機系列の安全性への不信感を抱いている事です。
次世代動力源を搭載していた4号機と同様とは行かずとも起動・運用時の事故を懸念していると言う事ですね。
確かに米国としてはまた4号機と同じような爆発を起こされたらいよいよ国家存亡の危機にもなりかねません。
かの国の国民性を考慮しても事故後にエヴァを廃棄するべきだ!という世論が旋風を吹かす光景も目に見えます。
そのため支援の名目で日本にエヴァという危険物を投げ売ったという解釈もできます。
しかし、これは理由の一部としてはあり得るかもしれませんが、メインの理由ではないと私は考察します。
エヴァ3号機譲渡を主導したのは4号機の考察の時と同様、十中八九ゼーレが関与しています。
譲渡の背景に4号機の事故が絡んでいることは間違いありません。
『破』の劇中にて4号機と5号機の喪失がシナリオに影響することをゲンドウが口にしていました。
その事はゼーレ側も認めてはいますが、修正の範囲内として認識されています。
以前私が4号機の考察記事で書いたように、4号機の喪失はゼーレが意図したものだったのなら、想定内の事態と言えますね。
ゲンドウからすれば4号機から得られる永久の動力源は喉から手が出るほど欲しかったはずです。
一方5号機の喪失はゲンドウが意図したものなので結局ゼーレとゲンドウは痛み分けをしたと言ったところでしょうか。
順番からすれば5号機喪失が先なので、ゲンドウの行いに対してゼーレが半ばペナルティも兼ねて4号機を消滅させたとも考えられますね。
表面上ではゼーレは事務的でゲンドウもゼーレの指示に忠実ですが、両者の頭の中の駆け引きでは殴り合いの乱闘状態なのかもしれませんねw
とはいえ、それでもゼーレは修正の範囲内として認識しているので、ここからゼーレの4号機と5号機の喪失によるシナリオの修正が行われます。
その最初のアクションが3号機を日本に譲渡することだったと考察します。
結局の所、米国政府はいくら世論が反発しても国防戦力の要でもあるエヴァをやすやすと手放さないと私は思います。
ネルフも組織としては決して一枚岩ではありません。
恐らく支部ごとに派閥やメンツ的なものがあると思います。
国産で新品の最新鋭機を他所に手渡すなんて米国からすればメンツ丸潰れです。
ゼーレ曰く、『エヴァ3号機は米国政府が是非にと君(ゲンドウ)に差し出した』と言っています。
あの大国が是非になんて言葉を使ってまで自主的に最新鋭機を無償で譲渡する訳がありません。
それでも日本に3号機が譲渡されたのは、米国にゼーレによる圧力があったものだと考えられます。
国家のエヴァの保有数がヴァチカン条約によって制限されていることと、ゼーレのシナリオの遂行に重要な役割を備えている性質上、ゼーレの意向なしでエヴァの譲渡はまず自由には出来ないはずです。
エヴァ3号機の輸送について
この件に関しては細かい違和感が無数にあるので、全容は未だ把握し切れていませんし、本当に憶測としての考察の域を出ません。
まず最初の違和感がエヴァ3号機の輸送方法です。
エヴァの運搬には車両、船舶、航空機の陸海空の運用が全て整っています。
中でも最も高級な輸送方法は航空機による空輸と言えるでしょう。
主に大陸間を行き来する長距離輸送向けの方法です。
しかし3号機の運搬方法が高級な長距離輸送向けか?と問われるとそうは思えません。
劇中で確認できる限り、エヴァの空輸方法には二つのパターンがあります。
一つは大重量貨物輸送機(エヴァンゲリオン空輸専用) U4002-01による空輸です。
これが恐らく空輸の中で最も高級な輸送方法です。
巨大な全翼機型の輸送機で、『破』では2号機を空輸していました。
機体底部中央付近にエヴァを収容したコンテナを接続して運搬します。
2号機のように空中でコンテナを切り離してエヴァを射出できる利便性もあります。
そのため単に基地施設間の輸送だけでなく作戦行動時の空中輸送にも適しています。
文字通り一番高級な輸送方法です。
もう一つは軍用超大型垂直離着陸長距離輸送機(エヴァンゲリオン空輸専用) AnG-78LL-M-01による空輸です。
これが問題の3号機に用いられた輸送方法です。
12発のエンジンを有する垂直離着陸が可能なVTOL輸送機です。
輸送機としては大型なのは違いありませんが、前者のU4002-01(以後『全翼機』と略します)と比べてサイズも馬力も劣るのは目に見えています。
何より問題に思えたのが、エヴァをコンテナ収容して機体に接続して運ぶ全翼機に対して、 AnG-78LL-M-01はエヴァ3号機を十字架に拘束してワイヤーで当機と接続し、そのまま吊り下げて運ぶ牽引輸送で空輸しています。
これは前者の輸送方法に比べてデメリットが多いと思えませんか?
まず、一番のデメリットが運搬効率の悪さです。
言うまでもなく前述した空輸方法の前者と後者どちらが速いか?って問えば間違いなく前者です。
『破』の劇中でミサトさんが3号機の到着が遅いことをボヤいていたように、ワイヤーによる牽引輸送は空気抵抗や輸送機の安定性などを考慮してそれほど速力を出せません。
エヴァの空輸専用の肩書きがあるとはいえ、AnG-78LL-M-01(以後はVTOLで略します)は本当の意味で長距離輸送には向きません。
当機において想定される長距離とは、大陸間における短距離と見越しておくべきでしょう。
例えば、北米大陸から南米大陸、日本から中国や朝鮮半島などといった隣国レベルの距離が主要に置かれた用途の機体だと思われます。
また、車両でエヴァを運搬することが出来ない山間部や森林地帯や足場の悪い砂漠地帯などへの運搬にも用いられることは考えられます。
言うなれば、全翼機が航続距離と足の速さに富んだ飛行機なら、VTOLは小回りが利くヘリコプターのようなものです。
そんな機体で北米から太平洋をまたいで日本までエヴァを運んできたのです。
多分ミサトさんも輸送には全翼機が使われると考えていたのではないでしょうか。
二番目のデメリットが品質保証と安全性の無さです。
エヴァを牽引輸送するということは、VTOLは構造上の問題でエヴァを機体に収容して輸送できるほどの馬力がないということです。
私がVTOLが長距離(大陸規模)に向かないと考察した理由でもあります。
これによって十分な梱包が荷物(エヴァ)に出来ず、吹きさらしの状態で日本に輸送しています。
例えるなら、新品のアメ車がもらえることになったけど、米国から日本まで貨物船の甲板上に雨風吹きさらし状態で運ばれるような有様です。
保護らしい保護がほとんど施されていないのです。
新品で扱いがこれではあまりに不親切だと思いませんか?
ただでさえ不安定な輸送方法で起動実験前の点検の手間も間違いなく増えているはずです。
確かに起動実験場のある山間地域の長野県松代に直接運べるのは便利と言えますが、それと比べてもデメリットの方の比率が大きいと思います。
これは単純に疑問なのですが、VTOLは2号機を運んだ全翼機のようにちゃんと護衛機を付けていたのでしょうか?
2号機は全翼機に輸送されていた際、戦闘機Su-34が輸送の護衛に付いています。
これは航路の誘導や安全確保の役割もありますので、大型輸送においては必要不可欠な存在です。
3号機の輸送は離陸時と実験場への着陸時以外にほとんどその描写が映されていないので真相はわかりません。
私個人としての考察は護衛機を付けていなかった可能性を考えています。
TV版では輸送機が到着時刻遵守のために航路上の積乱雲を回避せずに突っ込んだことで積乱雲の中で潜伏していた第13使徒に寄生されています。
もしも護衛機が存在し、ちゃんとその護衛に徹底していたらこれは中々出来ない行動です。
恐らく通常なら輸送機を否が応でも積乱雲の回避航路に誘導していたことでしょう。
あくまで護衛機の任務は護衛なので、到着時刻遵守は二の次になるはずです。
つまりTV版も新劇場版もエヴァ3号機輸送の護衛機は存在していないと考察します。
ここまでVTOLによる輸送の特に致命的なデメリットを紹介しましたが、これらを総じて疑問として挙げるのが…
何故こんな非効率な輸送方法を選んだのか?
ということです。
この輸送方法を選んだ背景には二つのパターンが考察されます。
一つは米国政府の都合です。
ここで言う都合とは、やむを得ない事情などではなく、もっと嫌味ったらしい皮肉的な感情論としての都合です。
ゼーレの圧力によって国産の最新鋭機であるエヴァ3号機を手放すのだとしたら、当然米国としてはあまり気持ちの良い事ではありません。
つまりこの非効率な輸送手段を選んだのは、米国からの嫌がらせという解釈の仕方です。
圧力によって潰されたメンツへのやり場のない矛先を日本とネルフ本部にぶつけたと言ったところです。
(ゼーレに直接ぶつけたらタダじゃ済みませんからねww)
米国からの言い分としては『ゼーレは3号機の日本輸送を指示しただけで、輸送方法をどうするかは我々の自由だ』っといった事を方便にしてやっていたと考えられます。
二つ目はおなじみのゼーレの意向です。
3号機は使徒に寄生されて暴走・使徒化します。
これも4号機の事故同様に偶発的ではなく意図的に狙った事故なのだとしたら、ゼーレは絶対に関与しています。
つまり、3号機は戦力としてネルフ本部に提供するのが目的ではなく、使徒として殲滅させることが譲渡の目的だったという解釈です。
新劇場版ではどこで3号機に使徒が寄生したのかが明確ではありませんが、輸送途中で寄生させることが目的だとして、ゼーレは何らかの経緯で予め使徒が上空で潜伏していたことを把握し、その空域を航路に仕向けるようにしてVTOLによる輸送を指示していたと考えられます。
全翼機では雲の上の高高度を飛ぶので、使徒の潜伏先を上から通り越してしまう可能性があることから輸送方法の候補から棄却されたと考えられます。
これは下から潜伏先を通り越してしまう船による輸送も同じですね。
米国としても3号機を受け取る日本に何かしら嫌がらせをしたいという意図が少なからずあったはずなのでその指示に対してはやぶさかではなかったのでしょう。
3号機のパイロットが不在だったのもその一端だったのかもしれません。
(圧力をかけたのはゼーレなんですがね^^;)
これら二つのパターンがVTOLによる輸送が選ばれた理由の候補ですが、恐らく二つとも理由として含まれていたと考えられます。
米国は憂さ晴らしに、ゼーレはシナリオ修正のために。
考え方は異なりますが意図しないで文字通り利害の一致が成立したのだと私は考察しております。
どっちにしろ日本のネルフ本部としてはとんだとばっちりですね!
ここまでエヴァ3号機に関する扱いに関して考察していきましたが、思いの外長くなってしまったので、3号機を利用したゼーレのシナリオ修正への考察はまた別の記事に改めてまとめたいと思います。
長々とお付き合い頂き、ありがとうございました!
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