- 仕事量の割に賃金は少ない
- 気に入らない上司に指図されるのが腹立たしい
- 関わりたくもない人間関係に巻き込まれるのは御免
その一つの答えとして、私はタクシー会社に目をつけました。
多くの人はタクシーで働くなんて選択肢、そもそも思いついたことすら無いと思います。
私自身、自分でタクシーの仕事を見つけたのではなく、職探し中に親からさり気なく提案されたことがきっかけでした。
以来、私はタクシードライバーの仕事で生計を立てています。
タクシー会社で働く仕事とは?
タクシードライバーとして、お客さんを目的地へ安全に運ぶことが仕事です。
仕事のやり方は完全に自分に委任されています。
仕事をやる・やらないも全て自己責任です。
残業や上司からあれこれ仕事の指図を受けることもないので、昨今の社畜に悩む若者には非常に馴染みやすい環境だと思います。
タクシーの勤務形態は主に3種類あります。
- 日勤…朝から夕方までの勤務です。
- 夜勤…夜から翌日朝までの勤務です。
- 隔日勤務…朝から深夜までの勤務です。
日勤と夜勤は共に一日8時間勤務で月22~24日勤務です。
隔日勤務は一日あたり約16時間~20時間以上と長時間の勤務ですが、勤務明けは20時間以上の休憩として休日になるのです。
この記事では隔日勤務を主に紹介していきたいと思います。
タクシー会社で働くメリット・デメリット
当然ながらこの仕事にもメリットとデメリットがあります。
自分で体験した限りの善し悪しを紹介します。
メリット
- 自分のペースで仕事と休憩時間を調整できる
- 1人で黙々と働けて人間関係のしがらみがない
- 歩合制で売上の分だけ給料がアップする
- 勤務日数より休日が多い
- チップがもらえる
自分のペースで仕事と休憩時間を調整できる
タクシーの仕事は本人に委任されています。
ノルマや仕事のやり方などを指図されることはありません。
あってもせいぜい客待ちの並び方程度です。
休憩のタイミングや休憩時間も全て自分の自由にできます。
1人で黙々と働けて人間関係のしがらみがない
接客業ですが、常にお客さんと一期一会の仕事なので人間関係等のしがらみがほとんどありません。
始まりから終わりまでほぼ1人で完結します。
歩合制で売上の分だけ給料がアップする
タクシー会社での収入は大抵の場合は完全歩合制です。
その日の売上の半分が会社、もう半分が自分の賃金になります。
そのため働いた分だけ稼ぎも上がります。
大まかな賃金の計算は以下の通りになります。
月の営業収入-消費税÷2(会社へ納金分)=給料-各種保険料=手取り額
勤務日数より休日が多い
隔日勤務は勤務明けが必ず20時間以上の休憩になるので、出勤した次の日は「明け番」として休みになります。
これは公休ではなくあくまでも休憩時間になりますので、公休は別に存在します。
ひと月に6日~8日分ほどの公休があります。
この公休と明け番が重なることで、3連休になる日が月に2,3回あります。
月の勤務日数も決められており、月平均12日勤務になります。
これに不測の事態等を想定した予備日として1日分の休日出勤を加算しても最大で13日の勤務となります。
この13日が法的に定められたひと月の最大勤務日数で、以降の出勤は労働基準法に違反します。
ちなみに最大で13日と言っても、あくまで非常用なので、常時使っていい日というわけではありません。
会社の中には月13日出勤が常態化している会社もありますが、これも労基にバレたら怒られる事案です。
チップがもらえる
この仕事の魅力の一つであり、従事する人の特権です。
お客さんの中にはお釣りをいらないという人もいますが、その不要となったお釣りは自分の懐に入れていいことを会社が容認しています。
時にはわざわざジュース代やチップをちゃんとくれるお客さんもいます。
差し入れでお茶やパンなどといった飲食物をくれる場合もあります。
チップは平均10円~500円の間ですが、12日~13日勤務で数千円単位になります。
羽振りがいいとひと月のチップで一万円近くになる時もあります。
チップは会社と折半せずダイレクトに自分の給与になるのでその存在は非常に大きいです。
デメリット
- 一回の勤務時間が長い
- 長時間同じ姿勢で疲れやすい
- 歩合制で売上の分だけ給料がダウンする
- お盆や正月、GWなどの暦に基づいた祝日や連休の概念がない
一回の勤務時間が長い
隔日勤務とは、いわば一日の出勤で二日分働くといった仕組みです。
そのため勤務時間が必然的に通常の二倍またはそれ以上の時間になります。
しかし時間を長く感じる時も無いわけではないですが、仕事が多忙な時はあっという間に時間が過ぎますので、極端に苦痛に思ったことはありません。
長時間同じ姿勢で疲れやすい
これは運転関連の仕事では避けられない共通の問題です。
仕事柄肩や腰に負担が来ます。
この負担を軽減するために休みの日はしっかり体を休めたり、仕事でも負担を抑えられる座席用のクッションなどの備品を自前で揃えて対策します。
歩合制で売上の分だけ給料がダウンする
歩合制はメリットにも書きましたが、逆もまた然りということです。
働いた分だけ給料も上がりますが、働かない分だけ給料も下がります。
また、時期や天候によって稼げる時と稼げない時があります。
お盆や正月、GWなどの暦に基づいた祝日や連休の概念がない
仕事→休み→仕事→休みを繰り返す仕事の性質上、カレンダーの祝日や連休にシフトが左右されません。
休みは多いのですが、お盆休みや正月休みなどが存在しないのがこの仕事の難点です。
これらの休みに併せて休むには、有休などを活用する必要があります。
有休を入れてもその前後は明け番なので、一日分の有休で三連休にできるのはある意味では強みとも言えるでしょう。
タクシー会社に入社するまで
タクシー会社に就職を検討するなら、まずどこのタクシー会社に入社するか決めなければなりません。
仕事内容はどの会社もまったく同じですが、勤務先の位置や勤務体系・時間、給与や各種待遇面は会社によって案外大きく異なります。
会社探しはまず自分の求める環境に合っているかを確認してください。
よくタクシーの車に『運転手募集』のステッカーが貼られてますが、それを見たまま応募はせずに、ネットの会社ホームページや求人サイトなどで求人情報を確認することを推奨します。
ホームページを持っていない会社でも、求人サイトやハローワークの求人に掲載していることがあります。
面接で確認すること
タクシーの面接は別に何か特別なことをすることはありません。
普通に履歴書持参する普通の面接です。
服装は一応『正社員』での求人だったのでスーツで行きました。
恐らくTPOを意識してればカジュアルな私服でも大丈夫です。
基本的にどの会社も高齢者ドライバーばかりで、歳や健康などの理由で人の出入りが激しいため、若くて長く働いてくれるドライバーは喉から手が出るほど欲しいのです。
なのでよっぽど黒い経歴がない限り、まず落ちません。
話を聞いた上で正式に入社を希望するか否か判断を委ねられます。
面接で特に確認しなければならないことがあります。
賃金がどれぐらいもらえるか
収入が自分の生活環境に許容できるか確認しましょう。
求人情報に掲載されている給与額は絵面を良く見せるために休まない勢いで目いっぱいまで働いた場合の金額を書いてある場合があります。
これはどの企業の求人もやり口は同じですね。
入社してからやっぱ食べていけないと退職する人もいます。
その際祝い金や二種免許取得費用を現金で返さなければならないので、慎重に検討して判断してください。
事故発生時の金銭問題
これが最も重要な質問事項です。
会社説明時に説明してもらえたなら良いですが、何も説明されなかったら必ず聞いてください。
事故時の車の破損やけが人を出してしまった際、補償してくれる会社と補償してくれない会社があります。
会社によって細かい差異があるので、必ず確認してください。
ちなみに私が所属する会社の場合は、ほぼ補償しつつ、1万円ほどを給料から差し引くような感じです。
入社して二種免許取得から実務開始まで
タクシーの仕事には普通二種免許が必要です。
二種免許未取得なら二種免許取得のために教習所に通う必要があります。
取得には普通免許を取得して3年以上経過していることと、費用もおよそ20万前後は掛かります。
ですが最近では二種免許の取得費用を会社が負担してくれます。
ただしその場合、免許取得から実務開始までの間は収入が入りません。
健康診断、二種免許の取得、タクシーセンターでの研修、実地研修まで掛かる期間がおよそ2週間~1ヶ月です。
そのため入社前に1,2ヶ月の生活費を余力に用意しておくことを推奨します。
ちなみに実務までの研修期間中は1日あたり1万前後の日当が大抵出ます。
健康診断
事前に会社が予約した病院で行う普通の身体測定などの健康診断です。
特に立て込まなければ二時間前後、半日程度で終ります。
二種免許の取得過程
スケジュールにもよりますが、教習所に大体1週間通って、免許センターで最終試験を受ける流れです。
教習所は1週間で修了を目指すために朝から夜まですし詰めの時間割になります。
中には半日で終わる日もあります。やることは普通一種の時とほぼ同じです。
学科と技能を一種とほぼ同じような内容でやって、効果測定と卒業検定を経て教習所は卒業。
あとは免許センターで試験をやって合格すれば完了です。
都会近辺の教習所では二種の生徒はそこそこいるそうですが、都会から離れた教習所では二種の生徒はほぼいないそうです。
当時の私の場合も二種面の教習は自分を含めて二人だけでした。
免許センターの試験
教習所の試験はよっぽどのことがない限り教官がなんとか一発で卒業できるように甘めに評価してくれます。
しかし免許センターの試験は別です。
ネットで調べると結構落ちてる人がいます。
実際、教習所でも教官に伺ってみると…
- 「大抵一回は落ちる」
- 「ここの授業をしっかり暗記しても合格できるかは正直厳しい…」
と、ちょっと及び腰な感じ。
試験は従来と同じマークシート式95問の○☓問題です。
- 文章問題1問につき1点
- イラスト付き問題3種が1問につき2点
100点満点中90点以上で合格です。
試験問題の対策として、教習所または自宅の家のPC、自分のスマホなどで模擬試験ができる専用サイトがあります。
しかしこれらは免許センターと直結しているサービスではないので、この問題がほぼ丸々試験に出るということではありません。
同じものもあれば、文章や問題の答えの部分が若干違ったり、全く見たことがない問題も出てきます。
なので模擬試験は少なくともほぼ100%暗記で合格点獲得は必須です。
これでも怪しいので、私は本屋などで二種面取得の本を購入しました。
(ブックオフで安い中古本を見つけて買いました)
極端な話、教習所でもらった教科書を標識の種類から運転の仕方やルールなど隅々まで暗記できたらほぼ高確率で合格できます。
試験問題の内容は二種だから専門的で難しいということはありません。
そのほとんどが普通一種とほぼ同じ内容です。
ただし、微妙に内容が異なってたり、ややこしいひっかけ問題が特に多いです。
落ちた人の原因はほとんどこのひっかけに引っかかってしまったことでしょう。
恐らく模試と参考書で補填すれば80%以上はほぼ正解できると思います。
しかし、残りの20%はひっかけ問題や全く見たことがない問題が予測されます。
そこだけ注意しておく必要があります。
なので模試や参考書に慣れたら、知らない問題が出た時のことも想定して教科書などを参照しておくことを推奨します。
仮に不合格しても再試験を受けることは可能です。
別料金は掛かりますが、1,2回なら会社が負担してくれる場合があります。
心配なら事前に会社に落ちた時のことを確認しておくことをお勧めします。
大体の話を聞く限り、会社側も一発合格は理想だけど、一回は落ちることを想定しているみたいです…。
ちなみに私はは合格点ギリギリ90点で無事一発合格することができました^^;
タクシーセンターでの研修
タクシーセンターと呼ばれる公益財団法人で座学の研修を受けます。
大体朝から夕方までの3,4日間の研修です。
タクシーの仕事の基本ルールや各勤務先にまつわる地理試験を受けることになります。
この試験は勤務地が都会から離れた地方田舎組の試験は簡単ですが、都会側の試験はとても難しいそうで、国家試験になるとのことです。
実際、私が研修を受けた時は都会側志望の方が丁度30人ほどいましたが、地方組は私を含めて5人ぐらいででした。
地方組は4日の研修で最終日が試験でしたが、都会組は3日の研修で最終日が試験日、4日目に不合格者の再試験日を設けていました。
私はチョイミスをして一回不合格になりましたが、その場で再試験してすぐに合格できました。
すべて修了してセンターを出ると、入口前に都会側志望の再試験を受ける人たちが大勢控えていました。
見る限りほぼ全員が不合格してたっぽいです。
都会は稼げるとは聞きますが、その道は険しそうです。
実地研修
これが最後の研修です。
3日間、勤務先の営業所で先輩の車の助手席に同情して一日過ごします。
仕事の流れを見つつ、たまに自分がお客さんを乗せて運転します。
座りっぱなしなのでなかなかキツいです…。
これが終わると次は自分一人で仕事をすることになります。
実務開始
研修を終えたらすぐぶっつけ本番の実務です。
普通に現役の先輩方と並んでその日の業務を一人で行います。
タクシー乗務員の一日の流れ
タクシーの仕事における一日の流れは以下の通りになります。
- 点呼・点検
- 営業開始
- 休憩
- 営業再開
- 給油
- 休憩
- 営業再開
- 洗車・納金
点呼
点検
営業
休憩
給油
洗車
納金・納車・勤務終了
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